2006/12/20
◆日経平均が終値としては5月9日以来の1万7000円台回復。4月の本年高値1万7563円が見えてきた。@19日の福井日銀総裁の発言で1月の利上げ観測が後退し長期金利が低下し、円安基調が続いている。A前日のアジア株式市場を揺さぶったタイの軍事主導の暫定政権は、海外資本の流入抑制策のうち、株式投資を外為取引規制から除外した。結果、日本を含むアジア・太平洋17市場のうち、この日下げたのはインドとフィリピンの2カ国市場のみだった(世界同時株高)。B11月27日以降一本調子で上げてきたが、前日の下げがガス抜きとなった・・ことからほぼ全面高となった。TOPIX33業種別指数すべて上昇し、値上がり銘柄数は1417(値下がりは217)を数えた。市場体温計トヨタ自(7203)やホンダ(7267)が上場来高値を更新し、新日鉄(5401)は90年6月以来の600円台タッチとなり終値は24円高の598円となった。
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◆怖いのは、総論では、株価指数が上昇基調を継続するものの、年末年始の相場で人気セクターが様変わりすることが良くあるということ。見事にそれまでの人気セクターが失速してしまった例はヤマほどある。
◆新年展望のレポートが相次ぎ発表されるが、基本的な世界の経済・景気観測は、<世界の経済は減速する。が、リセッションの恐れはほとんどない。そして、インフレリスクを抑制する。>といったものだ。企業業績も同様か。国内景気では、企業部門の好調に対し、個人消費は厳しさが残る。税金・各種保険料の引き上げが負担増となって跳ね返るのだ。
◆今年の負け組みにあるのは鉱業、建設、繊維、紙パ、(化学)、石油・石炭、ガラス・土石、非鉄、(金属製品)、(機械)、(電気機器)、陸運、空運、倉庫・運輸、情報・通信、卸売(商社)、小売、銀行、証券・商品、(保険)、その他金融、サービスの23業種に及ぶ。何のことはない、33業種中上げが目立ったのは10業種しかなく、年末年始がほぼ同じの(6)業種を上昇組としても16業種の上昇に17業種の下落と上昇組みが少数派になる。ということは・・、来年相場予想の前提条件がまったく違ったときに現在絶好調組に変わって出番を迎えるほぼ半分の現在絶不調組があることは、かえって、頼もしいことになると考えたほうが良い。
◆ゆっくりとした金利上昇は利ザヤで苦戦が続く銀行セクターには朗報。みずほFG(8411)は52週線とのかい離が大きすぎるが、もっと長期の視点、24カ月平均線でみた場合、ようやく下値に届きつつあり「長期上昇基調は途切れていない」ことを示唆している。新年の本欄中期注目株候補とするのは●自社製半導体テスターが好調のイノテック(9880・ジャス)、●圧倒的世界シェアで信頼されるペンタブレットが欧米向けに拡大するワコム(6727)、●高配当性向時代と株高が業績及び株式含み益を大きく膨らます17世紀創業の岡谷鋼機(7485・名)は12月に一段上の相場に入った。
◆任天堂(7974)人気にあやかるなら、きょう年初来高値をつけたソフト開発老舗のハドソン(4822・ヘラ)だろう。「Wii」、「DS」関連の投入が業績を押し上げる。上場翌月の01年2月につけた1670円の上場来高値更新が期待される。