2011/05/17
◆日経平均は前日比8円高の9567円と4日ぶりに小反発したが、TOPIXは0.70ポイント安の828とわずかに4日続落した。16日の海外市場では、米景気の減速懸念からドル売りが広がり、欧米株が続落し、NY原油、金など商品先物も下落した。海外で反対売買のための円買いが進んだことを受け、東京外為市場が円高で始まり、株式市場でも売りが先行した。しかし、前場後半に日経平均が9502円と心理的なポイントである9500円に急接近したことや、ヘッジファンドの円売りにより対ドル、ユーロに対して円安に転じたこと、加えて、時間外でNY原油先物が下げ渋ったと伝わったことから、素材・資源関連セクターや金融セクターの一角が反転し、輸出関連株が上げに転じて、日経平均は小幅にプラスに転じ、TOPIXはわずかな下げにとどまった。■テクニカル的には、日経平均は、上値を、日足ベースでは200日移動平均線が、週足ベースでは52週線が上値を抑えている格好となっている。それでも、4月1日高値よりも5月2日高値1万17円が上にあり、この日の安値は4月19日の安値9405円を100円弱上回っており、まだ、上値を追うことが出来る格好ではある。もっとも、米国株の行方、為替の方向、福島原発事故処理問題・・の動きが短期的な日本株の動きを左右することに変わりはない。肩の凝る相場であり、積極的に動く場面ではなく、自分得意銘柄の下値をあわてずに拾うべきであろう。
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◆積極的に買う場面ではないと思うから、旧川島織物、現川島織物セルテック(3009)について語ってみよう。同社は16日に親会社住生活G(5938)の完全子会社になると発表した。戦後生まれの企業に江戸・天保時代1843年創業の会社が完全に飲み込まれた格好だ。1980年代後半のバブル期、筆者は当時の川島織物の室内装飾織物に注目したことがある。日本郵船(9101)などが大型客船を相次ぎ建造する前後のことだ。その頃、1936年の2・26事件で悲劇的な最後を遂げた首相としてよりも大蔵大臣として知られる高橋是清の自叙伝で、(奴隷としてアメリカに売られるなど、数奇な運命をたどったが)手がけた仕事のひとつが、日本に特許制度を導入するため東奔西走したことを知った。記憶によれば、その時、海外で出会ったのが川島織物のオーナー川島甚兵衛氏で、西洋では「デザイン」、「図案」なども特許で守られていることを高橋是清に知らせたとあった。バブル期も重なり、川島織物の株価は1986年の300円台後半から90年6月には過去最高値1610円を付けた。その後は、バブルが仇となり、赤字経営が多くなっていった・・。そして、立ち直ることは出来なかった。が、その技術は伝えられていよう。新たな、話題の誕生に期待したい。
◆加工食品卸大手の加藤産業(9869)が4日続伸、一時3月31日以来の高値を付ける場面があった。前週13日に発表した11年9月期中間連結経常利益が会社計画を大幅に上回ったものの、通期予想を据え置いたことから増額修正期待の買いが流入したもの。同社の業績予想発表パターンはこの形をとることが多く、通期決算発表時に期初計画を上回って着地する格好となる。今期予想PERは10.1倍であり下値リスクも乏しい。ウォッチングを開始し、突っ込み場面を待ちたい。